2019年09月

ポルトガルリーグにおいて、ベンフィカ、ポルト、スポルティングの3大クラブの実績が突出していることがわかりました。

今回は、この3クラブに続くクラブの歩みを見てみました。


国内リーグの優勝経験があるベレネンセス(歴代勝利数4位)とボアビスタ(歴代勝利数8位)、歴代勝利数が5位ギマランイス、6位のブラガ、そして中島翔哉選手が活躍して話題になったポルティモネンセについて見てみます。


・ベレネンセス(水色)、ボアビスタ(黒)

IMG_9431


ベレネンセスは古豪。1945-1946シーズンに優勝し、1950年代頃までは4位以内をキープします。徐々に下降して2部降格も何回か経験しましたが、現在も1部の中堅クラブとして踏ん張っています。


ボアビスタは1970年代から1部に定着し、1990年代には3大クラブに割って入る活躍をするようになり、2000-2001シーズンには優勝します。2000年代に入ると八百長発覚による2部降格もありましたが、2014-2015シーズンに1部に復帰しています。


・ブラガ(赤)、ギマランイス(緑)

IMG_9432


ブラガは1970年代後半から1部に定着し、2000年代に入ってからは安定的に上位に食い込んでいます。国内で4番目のクラブと言えるでしょう。2009-2010シーズンは2位になっています。


ギマランイスは1部での順位に波はありますが

2部降格が少ないクラブです。1位、2位になったことはないものの、3位は4回あります。


・ポルティモネンセ

IMG_9433


1970年代から1980年代に1部に長らく在籍しましたが、その後は2010-2011シーズンまで1部に上がることなく、そのシーズンも降格してしまいます。そして久々の1部参戦となった2017-2018シーズン、中島翔哉選手の29試合10得点の活躍により10位で終え、2019-2020シーズンも1部で迎えることができています。


結果的に、3強とその次に位置するクラブでは、実績に大きな差があることが改めてわかりました。一方、ブラガが第2集団で頭一つ抜けつつあり、今後の活躍が楽しみです。


※過去のポルトガル関連記事をまとめたアーカイブページも、よろしければご覧ください。



ポルトガルリーグの2019-2020シーズンのガイドブックには、クラブ紹介ページに「予算」という項目があります。

この「予算」というのが、具体的には選手人件費なのかチーム人件費なのか、もしくは事業規模(営業収益)などを指すのかはわからなかったのですが、

ポルトガル1部リーグのクラブ間格差を目安として把握できるため、まとめてみました。


<ポルトガルリーグのクラブ別予算規模>

IMG_9434



<グラフからわかること>

・ベンフィカ、ポルト、スポルティングの3クラブが突出している。最少規模のクラブとは30倍。

・3クラブ以外のクラブは、ブラガが少し規模が大きい以外は非常に拮抗している。


日本円に換算すると、

最大規模のベンフィカ、ポルトが約107億円、

最初規模の300万ユーロのクラブが約3.5億円、

ということになります。


ちなみに、Jリーグの各クラブは「チーム人件費」を公表しています。2018年のJ1クラブ平均が22.75億円で、最多はヴィッセル神戸の44.77億円、最少はVファーレン長崎の8.14億円でした。J2クラブ平均が6.81億円、最多は大宮アルディージャの19.15億円、最少はFC町田ゼルビアが2.78億円でした。

もし、上記のポルトガルリーグの予算規模の数字が、同じく「チーム人件費」だと仮定すると、ポルトガル1部リーグの3大クラブとその他クラブの中間に、J1クラブの大半のクラブがごっそり位置付けられるような感じになり、ポルトガル1部リーグの小クラブはJ2の低予算クラブ程度のチーム人件費ということになります。


最近では、Jリーグからポルトガルリーグのクラブへの移籍が増えていますが、クラブの予算規模の観点からすれば3大クラブ以外への移籍は必ずしも「ビッグクラブへのステップアップ」というわけではないことになります。

向上心の高いトップレベルの日本人選手にとっては、ヨーロッパの舞台でプレーすることにより、ビッグクラブのスカウトの目にとまりやすくなったり、日本以外の選手とプレーする経験値が増えるなどの価値が魅力なので、Jリーグとしては、このあたりの価値をどう訴求できるかという点も重要になってきているのでしょう。


※過去のポルトガル関連記事をまとめたアーカイブページも、よろしければご覧ください。



出典:SPODIGI 2018年度】Jリーグ全クラブの決算・経営情報をグラフ化。営業利益やスポンサー収入が多いのはどのクラブ?

https://spodigi.com/sports-business/j-league-club-managment-information/


今回の記事では、ポルトガルリーグの3大クラブと呼ばれるベンフィカ、FCポルト、スポルティングCPが、リーグでどれだけ圧倒的な強さを誇るのかを見てみたいと思います。



順位推移portugal_top3rank
※赤:ベンフィカ、青:ポルト、緑:スポルティング

まずは、ポルトガルリーグがスタートした1934-1935シーズンから2018-2019シーズンまでの間の3クラブの順位の推移を表にしてみました。

3クラブとも2部に降格したことがないだけでなく、なんと2ケタ順位すら一度もありません。最低順位はベンフィカは6位(2000-2001)、スポルティングCP7位(2012-2013)、FCポルトは9位(1969-1970)です。

そして、ほとんどのシーズンで3クラブが13位を独占しています。

なんと、3クラブ以外がリーグ優勝したのは、1945-1946シーズンのベレネンセスと2000-2001シーズンのボアビスタの2回しかありません!!

全世界のリーグでも、ここまで優勝クラブが寡占的な国はないのではないでしょうか。

ちなみに、ベレネンセスはリスボン、ボアビスタはポルトが本拠地のクラブなので、リスボンとポルト以外のクラブがリーグ優勝したことは一度もないことになります。


3クラブの黄金期も見てみたいと思います。

まず、スポルティングCP1946-1953の期間が最盛期と言えそうです。

ベンフィカは3クラブの中でも最も安定的に強いですが、とりわけ1959-1976は圧倒的。黒豹または黒い真珠と呼ばれたポルトガル代表ストライカーのエウゼビオ(Eusébio da Silva Ferreira)が在籍した1960年~1975年と、ベンフィカの黄金期はほぼ重なります。在籍中にポルトガルリーグ得点王に7回も輝くという、まさに驚異的な活躍でした。

ポルトは1984-2012、中でも1990年代後半から2010年代序盤に優勝が多いため、3クラブの中では「徐々に力をつけてきたクラブ」と言えそうです。


優勝回数推移
portugal_top3title

続いて、1位獲得数推移をグラフにしてみました。

こちらを見ても、ベンフィカが安定的に強いこと、ポルトが1980年代からじわじわと優勝回数を伸ばしていることがわかります。


※過去のポルトガル関連記事をまとめたアーカイブページも、よろしければご覧ください。


続きを読む

今回の記事では、ポルトガル・リスボンの人気エリアであるベレン地区を観光したついでに、ベレネンセスのホームスタジアムである「レステーロ競技場」を観に行ったときのことを書きたいと思います。


<概要>

ベレネンセス(Os Belenenses)

設立:1919923

ホームタウン:リスボン・ベレン地区

ホームスタジアム:

エスタディオ・ナシオナル・リスボン

エスタディオ・ド・レステロ(Estádiodo Restelo)

1956923日開場、19856人収容。

チームカラー:


リスボン市のベレン地区は、ジェロニモス修道院、ベレンの塔、発見のモニュメントなどがあるベイエリアで、リスボン市街からバスで30分で行ける人気の観光地です。


私は現地の人に教えてもらうまで知らなかったのですが、トラムバスを降りて、大半の観光客が観光地に向かう中、観光客に群れることなく緩やかな坂を登ると、ジェロニモス修道院のすぐ裏手にスタジアムがあります。

IMG_8259

IMG_8297

(ジェロニモス修道院の脇の通りを歩いて行くとあります)


ここは、ベレネンセスという古豪クラブのホームスタジアムです。

(現在は改修中のようで、19-20シーズンのホームゲームはエスタディオ・ナシオナル・リスボンで行われます)

近年は中位をふらふらしていて、何度か2部にも降格していますが、リーグ創設以来の大半を1部リーグで過ごしており、1945-1946シーズンには優勝したこともあります。

優勝は1回だけですが、ベンフィカ、ポルト、スポルティングCP3クラブ以外でポルトガルリーグを制したことがあるのは、ベレネンセスとボアビスタFC2クラブのみなので、リーグ優勝経験のあるレアなクラブと言えます。


スタジアムはそれほど大きくはなく、設備が充実しているわけでもなく、陸上トラックがあるため、日本の陸上競技場の風情があります。一方、スタジアムからベレンの海やジェロニモス修道院も観れるため、非常に贅沢なスタジアムでもあります。

IMG_8294

また、トレーニングコートが併設されていて、ユースチームが練習していました。
IMG_8289


リスボンに旅行に行く方は、ベレンは外せない観光スポットですので、試合があるときにはそのついでに観戦というのもアリだと思います。

今回は、スポルティングCP(Sporting Clube de Portugal)のスタジアムツアー体験について書きたいと思います。


<概要>

スポルティングCP(Sporting Clube de Portugal)

設立:190671

ホームタウン:リスボン

ホームスタジアム:エスタディオ・ジョゼ・アルヴァラーデ(Estádio José Alvalade)

200386日開場、50044人収容。

チームカラー:緑、白


ベンフィカ、ポルトとともに、ポルトガル国内リーグの3大クラブの1つです。

リーグ優勝回数は3クラブの中で最も少ないですが、フィーゴ、クリスティアーノ・ロナウドなど、世界に名だたるプレイヤーを多く輩出しています。

田中順也選手も過去に所属していましたね。

「スポルティングリスボン」かと思っていましたが、正しくは「スポルティングクラブオブポルトガル」、すなわち「スポルティングCP」なのだそうです。

緑と白のストライプ、ヨーロッパ内での位置付けから、スコットランドの強豪クラブ、セルティックと混同しそうになります。


ホームゲームは日程が合わなかったのですが、リスボン滞在中にスタジアムツアーに参加してきました。


<まずはカンポ・グランデ駅へ>

スタジアムはメトロのカンポ・グランデ駅(Campo Grande)が最寄りです。

リスボン市街の中心部からは、バイシャシアード駅(Baixa-Chiado)やロシオ駅(Rossio)があるグリーンラインから乗り換えなしで20分程度。

駅を降りればスタジアムがすぐ見えます。

ゲートによっては徒歩10分程度かかりますが、スタジアム自体は徒歩23分で着きます。

スタジアム内には、スーパーや映画館が入っています。

IMG_8329



<スタジアムツアーの概要>

11:3014:3015:3016:304回。

月曜はお休み。みホームゲームの日は11:30のみ、ヨーロピアンホームゲーム(CLなどの日?)はツアーは行わず、前日も11:30のみだそうです。詳しくはホームページで確認することをオススメします。

金額は大人14ユーロ、子供7ユーロ。14ユーロは約1800円なので、ソシオ会員じゃないとそれなりに高いです。

(すみだ水族館が2050円。上野動物園は600円。高いと感じるか安いと感じるかは個人差がありますかね)


<スタジアムツアーに参加>

受付でスタジアムツアーに参加したい旨を伝え、支払いをして、開始まで待ちます。直前の申込でも全然大丈夫でした。

ガイドはポルトガル語と英語の人がいるので、英語のガイドの人に付いて行きました。私のときは、だいたい20人ぐらいが半々に分かれました。

ツアーは約1時間。ロッカールーム、観客席、ピッチサイド、プレスルーム、VIPの観戦スペースなどを周り、各所で説明を受けた後は自由に写真撮影や見学をします。

IMG_8364

IMG_8378
IMG_8406
IMG_8432


地下のミュージアムゾーンに移動してからは完全フリーで、どれだけじっくり見ても、すぐに帰ってもOKです。

ミュージアムの展示物はサッカー以外の競技もあり、改めて総合スポーツクラブであることを実感します。どのスポーツもユニフォームは共通して白と緑のストライプです。選手や記録な詳細が紹介されているというよりは、トロフィーがずらーっと並んでいて目で楽しむ感じです。

IMG_8458

IMG_8465

金額はちょい高めですが、スタジアムや博物館好きな人は一見の価値ありです!

↑このページのトップヘ